綿織物について

各品種の解説

各品種の解説

品種 説明
金巾
shirting

組織は平織であり、経・緯糸共30~40番単糸を使用し、2.54cm(1インチ)当たり密度は経糸58~72本、緯糸56~70本である。生地のものを生(き)かなきん、漂白したものを晒しかなきん、無地染めのものを染かなきん、捺染したものを更紗(さらさ)という。生地のままで用いられるものがあるが、多くは晒してシャツや肌着等に用い、無地染めのものは主として裏地に用いられる。更秒は数色の草花や幾何学模様を配置し、ふとん地、ふろしき地や子供の服地等に用いられる。

ポプリン
poplin

平織であるが、経糸は細い糸を密に、緯糸はそれより太い糸を粗くして織るため、糸が交錯するとき経糸に屈曲が多くなるが、緯糸は殆ど直線となり、畝織のように細い経畝が現れる。使用糸の範囲はかなり広く、経糸に42~60番双糸や30~40番単糸を、緯糸に42番前後の双糸や20~40番単糸を用いたもの等がある。2.54cm間の密度は上等のものでは経90~130本、緯50~60本程度、普通品では経90~100本、緯40~60本程度である。白のものが多いが、縞糸を織り込んだ縞ポプリンや、捺染したものもある。一般に白地と縞ものはワイシャツ地に、捺染したものは夏の婦人・子供服地等に用いられる。

ブロード
broadcloth

織り方はポプリンに似ているが、ポプリンほど畝がはっきりせず、品質はポプリンより高級である。上等のものはエジプト綿やシーアイランド綿を原料とするコーマー糸を使用して80~100番の双糸、特に上等のものは120番位の双糸を使用するが、普通品でコーマーにかけない40~60番程度の単糸を用いたポプリンと大差ない外観のものもある。経密度は2.54cm間100~140本程度で、緯はその半分程度とする。織り上げ後、漂白及びシルケット加工を施して光沢を出し、手触りの柔らかい地合いに仕上げる。白地が多いが、無地染物や捺染物、縞物等もあり、ワイシャツ地や夏の婦人服地等に用いられる。

粗布
sheeting

金巾に近いが、金巾に比べてやや太い糸を使用して密度を粗く織ったものである。生地、晒し、無地染、捺染の各種がある。下級の綿布に属しており、概ね寝具や袋物等に用いられる。

天竺
sheeting
greysheeting

一般に天笠木綿といわれ、インド地方から輸入されたため、この名がついたといわれている。粗布や細布と明瞭な区別がなく、糸の太さや密度等が多少異なるだけである。金巾に比べて地がいくぶん厚く、生地のまま小麦袋や幕地等に用いられるが、晒し、無地染、捺染のものは粗布や細布とほぼ同様の用途に用いられる。

細布
sheeting
heavyshirting
地合いは粗布と金巾の中間にあり、平織で、経糸緯糸共20~24番単糸を使用し、2.54cm間の密度は経が48~60本で緯が52~66本である。生地、晒し、無地染、捺染の各種があるが、用途は粗布とほぼ同様である。
ネル
flannel

木綿起毛織物のひとつで、織組織は平織または斜文織(1/2綾、2/2綾等)とし、経糸に14番以上の単糸または双糸、緯糸に8~21番または40番双糸未満の甘撚を用い、普通経密度36~60本/inch程度、緯密度40~60本/inch程度のもので、双糸のものが大部分である。織上げ後片面または両面起毛し、主に衣料(子供の外衣、寝巻き、洋服の裏地用等)のほかにろ過布に用いられる。

クレープ
crepe

面縮(めんちぢみ)ともいう。平織であるが、緯糸に強撚糸を使用して、しぼ(注)を現す。20~40番単糸を使用、特別上等のものは80~100番双糸を使用、細い糸を使用する程しぼも細かく現れて上品な外観となる。だいたい白生地が多く、主に夏の肌着類に用いられる。産地名をつけた佐野縮や岩国縮等が昔から知られている。

(注)しぼ
皺。織物の表面に現れる凹凸。しぼにはいろいろの形があり、例えば、緯糸に強撚糸の右撚り2本と左撚り2本を交互に打ち込めば織物全面に一様の細かいしぼが現れ(両しぼという)、右撚りまたは左撚り1種だけでは経に細かい直線状のしぼ(片しぼという)が現れ、右撚りと左撚りを4~8本ずつ交互に打ち込めば粒状の大きなしぼ(うずらちぢみという)が現れる。

細綾
jeans

ジンズともいう。経・緯糸とも20~40番単糸を使用した2/1綾織の綿布で、地合いは金巾よりもいくぶん厚い程度。未晒し、晒し、染色、捺染の各種のものがある。用途は極めて広く、服地、作業衣、ズック靴、寝具等に用いられる。

太綾
drill

ドリルともいう。一般に経緯糸とも14~18番単糸を使用して2/1または2/2等の綾織組織に織った厚手の織物である。このうち、2/2のものをとくに雲斎(うんさい)ということがある。生地のもの、晒し、染色(カーキ色が多い)等があり、綿服地、作業衣等に用いられる。かつらぎ(葛城)も太綾の一種であり、12~20番単糸を使用した1/2や2/2、1/3の綾織である。

朱子
satinfabric

サテンともいう。経糸または緯糸のどちらかが多く布地の面に現れるように、朱子組織に織ったものをいう。ただし、布地の一部にだけ朱子組織が現れるものは含めない。

別珍
velveteen

英語からの当て字であり、綿ビロード、ベルベット、唐天、絹天等ともいう。パイル織物の一種であり、織り上げた後にパイル経糸をカットして片面に毛羽立てた、手ざわりの柔らかい肉厚のものである。地組織が平織(平地別珍という)のものと、1/2または2/2あや綾(あや地別珍という)のものがある。婦人子供服地、帽子地、洋服のポケットクロス、ふとんのえり、足袋、化粧用パフ、化粧箱の内張等広範囲に用いられる。

コール天
corduroy

パイル織物の一種であり、パイル経糸の組織点が緯に一直線に並ぶため、毛羽が緯方向にすじを作って現れる。すじの太さは通常2~3㎜の幅のものが多い。黒や紺等の無地染めに仕上げて、主としてズボン地、作業服地、足袋地等に用いられるが、色を染めて婦人服地に用いられるものもある。

白木綿
shiromomen

16~30番手の糸を使用して、平織とした小幅織物をいう。晒し地、手拭地、浴衣地等。地厚のものは晒し地、手拭地に、地薄のものは浴衣地(中形ともいう)に用いられる。

包帯・ガーゼ
gauze

30~42番単糸を使用して、密度は2.54㎝(1インチ)間に経30~45本、緯30~40本程度の極めて目の粗い薄手の平織で、織り上げた後に精練や漂白をする。肌着やハンカチーフ等の衣料用、ガーゼや包帯等の衛生材料用に用いられる。

ギンガム
gingham

平織の縞綿布で、色糸を使用して格子縞を出すか、碁盤型に太い糸を交配する。経緯共に20~40番単糸を使用して、色は洗濯しても退色しないような堅ろう染のものを用いる。主に夏の婦人・子供服地、エプロン地、シャツ(特にスポーツシャツ)地等に用いられる。

デニム
denim

経に20番手以下の色糸、緯糸に経糸より細目の晒し糸または色糸を使用して、綾織またはたて朱子織にした厚地織物。ジーンズともいう。

シャンブレー
chambray

フランスの地名シャンブレーに由来し、通常経糸に青染糸、緯糸に晒糸または未晒糸を用い、布に霜降り効果を現したものである。経糸の染糸は赤、緑等もある。用途は婦人・子供服、シャツ、裏地などである。

キャラコ
calico

金巾にキャラコ仕上げしたものである。キャラコ仕上げは漂白して水洗いした後、裏糊を施し、カレンダーにかけて艶出しを行ったものである。用途はワイシャツ、カラー、ハンカチ、白足袋、裏地などである。

キャンブリック
cambric

金巾級の薄地の織物で、経緯ともエジプト綿を使用し、経60番、緯50番を1インチ間90~100本打ち込み、織上後キャンブリック仕上したもので、服地、ハンカチ等に用いられる。

ボイル
voile

経緯ともに強撚の双糸を用いた薄地の密度のやや粗いもので、麻織物のような仕上げをしたものである。緯糸に強撚の単糸を用いたものをハーフボイル、経緯とも単糸のものを単糸ボイルといわれる。

ローン
lawn

薄地で経緯とも50番以上の単糸を使用し、経緯密度が160本以上で製織後漂白または無地染、捺染をし、薄糊を施して麻織物のような感じにしたものである。主にししゅうレース用生地、ハンカチ、下着、造花、装飾などに用いる。

オーガンジー
organdie

ローンにオーガンジー加工(擬麻加工)を施し、手触りの硬い光沢のある仕上げをしたものである。主に婦人・子供服のカラーやカフスなどに用いる。

モスリン
muslin

綿モスリンは経緯に80番以上の単糸を用い、160本以上の密度で薄地軽めの柔軟な手触りの綿布で、広義にはローン、シーチング級も言う。スフモスリンは経緯とも30番、または60番双糸、80番双糸を用い、インチ間110本以上の地質柔軟なもので通常スフモスと言われる。それぞれ原料使用番手により用途も異なるが、カーテン、下着、ドレス、裏地、および産業用に多く見られる。

バチスト
batiste

フランスの産地バプチスト(baptidte)で織出されこの名がついたもので、元は薄地の麻織物であったが現在はすべての繊維で織られている。いずれも細番手の糸を用い、地薄に織り上げた柔らかい織物で、肌着、ハンカチ、裏地、ドレスなどに用いられる。

サージ
serge

2/2綾で、斜文線は45度、その方向は表裏逆となる。梳毛の毛サージがその代表で、これに類似した外観、風合いを保つスフサージ、混紡のナイロンサージ、ビニロンサージ等種類も多い。主として服地物に用いられる。

ギャバジン
gabardine

綿ギャバジンは細綾綿布の1種で、経糸がつんでおり、光沢に富む。経糸に40番~44番双糸、または20番の綿糸を用い、密度は経糸116~146本、緯糸は50~60本とし、組織は2/2または3/1、3/2綾、綾目を45度以上の角度とした織物で、生地の両面を毛焼きした後、シルケット加工を施す。一般に服地、レインコート地に用いられる。

ティッキング
ticking

経緯とも20番で密度は1インチ間経80本、緯50本または40本で、組織は2/1綾が主である。敷布等に用いられる。

オックスフォード
oxford

一般に経糸には2本引揃糸を用いた織物であるが、色糸を用いた縞や、ドビーを用いて模様を現したものもある。経糸には24~30番、緯糸には12~16番を使用し、密度は経70~100本、緯44~50本が普通である。

揚柳
crepeyouryu

緯糸に強撚糸を使用し、加工工程で緯糸を縮ませたしぼり織物で、特に自然な波形のしぼ立てしたものをいう。しぼ立ての方法として温湯中に自然にしぼ立てたものと、エンボスローラーでしぼ形を強制するやり方がある。糸使いも10~15番まで幅広く夏の肌着、ドレス、寝衣に用いられる。

ナイヤガラ
niagara

梨地織物の変形で、経糸が所々不規則に浮いてこれが水の流れのような陰影を描くドビー織物である。主として20~30番が使われ、プリントして婦人子供服、インテリア関係に使用される。

シャーサッカー
seersucker

薄地平織物の一種で、夏の婦人服地として多く製織される。張力の異なった2種の経糸を配列して、収縮の変化によって経糸の方向に糸が弛んで縮んだ縞の部分と地の部分とを作る。生地もの、無地もの、縞柄、格子柄等がある。綿のほかに絹、レーヨンでも作る。

タッサー
tussore

ポプリンの一種。緯糸は特に太めで緯畝が粗大に現れた厚地織物で一般に無地染または捺染され、婦人服地などに用いられる。

タフタ
taffta

平織の密度の周密な織物で、薄い琥珀のようで低い緯畝がある。用途は婦人服、リボン、傘地等などで、タフタの名はペルシャ語のTaftah(高級絹織物)から出たといわれている。

ポーラ
poral

経緯糸にポーラ糸を使用して、平または変化組織とした密度の粗い織物で、夏用の服地等に用いられる。ポーラ糸は細い芯糸と太い飾り糸と細い抑え糸とを強撚で撚り合わせたもので、織ったものは縮風となる。

ファイユ
faiyu

緯畝のある織物で、経糸に4~6本ことにツリ糸を1本ずつ配列して、組織を丈夫にした経糸密度の大きい絹織物または類似の織物。織物は腰があり、用途は婦人のスプリング・コート、スーツ、服地等。

トロピカル
tropicalx

主として夏服用の薄地梳毛織物またはこれに類似の織物。

※参考資料:日本紡績協会「綿花から織物まで」 / センイ・ジヤァナル社「現代繊維辞典」

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